「好き」を仕事にできるのだろうか

こんにちは、千葉県香取市にある築100年の古民家でキャリア相談、人材開発「キャリアツーリズム」事業を行っているせんのみなとです。

最近よく、「好きなこと、楽しいことを仕事にしていて羨ましいよ」と言われる長嶺(長嶺の自己紹介はこちら)です。一方で、社会的には「好きは仕事にしない方が良い」という風潮が一昔前の出来事ではなく、今も続いてしまっているのも事実だと感じています。

そこで、今回は「好きを仕事にできるのか」を寄稿していこうと思います。

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▼「好きを仕事に」とはなんだろうか

そもそも、好きを仕事に、ということはどういうことなのでしょうか。

サッカーが好きだから、サッカー選手になる。

ケーキが好きだから、ケーキ屋さんを開業する。

ゴルフが趣味だから、ゴルフ関係の仕事をする。

これも「好き」のうちに入るかと思います。

一方で、「好き」が特段ないから、合いそうな仕事をする、という人も現実には多いのも確かです。

それは、好きなことと言えば、ゲームやマンガ、YOUTUBEだから、これらは仕事にならないと決めつけてしまっていることが原因にあります。

ここで起こっている現象とは、どのようなことなのでしょうか。

それは好きが具体的過ぎる、ということです。

もっと平たく言うと、独り善がりの好きだから仕事にならない、ということです。

あなたがサッカー好きなのはわかりました。でも、あなたがサッカーを好きということで、誰かの生活が幸せになることはありません。つまり、「社会的意義」や「生産性」がないため、他者からの共感や応援を受けることができません。

マンガの例でも同じです。あなたがマンガ好きということで、共通の話題を話す仲間はできたとしても、それが誰かの生活を幸せにできるか、といったら難しいかと思います。これも、社会的意義や生産性がないということです。

「社会的意義を考えなくちゃいけない時点で、好きではなくなってしまう」という考え方もあるかと思います。ですが、一回立ち止まって、胸に手を当ててみてください。「誰からも共感されないまま生き続けることができる?」と。

これは一昔前の実験になるのですが、幼児がスキンシップや愛情、共感なしで育てられると、どうなるかを検証した事例があります。

結果は、非常に遺憾なことに、実験された幼児全員が命を落としています。

つまり、人間とは他者からの「認証」がないと生きることができないということです。

「好きを仕事に」とは、好きを抽象化し、他者から共感、承認される必要があるのです。

▼なぜ、好きなことを仕事にしない方が良いと言われるのか

前段の通り、好きを抽象化し、他者から共感、承認される必要がある、と言うと多くの反論が出てくるかもしれません。

そして、「そんなんだから好きは仕事にできないんじゃないか」という考えも出てくるかと思います。

ですが、その裏にある思いとしては「自分の好きが否定されてしまったらどうしよう」「好きなことが嫌いになる可能性もあるから、仕事にはしないでおこう」という気持ちを持っている人が多いようです。

そう、これが「好きが具体的過ぎる」と述べた理由です。

人間は時代や環境、今いる状況に応じて、自然と変化していく生き物です。そして、その時に応じて役割が変わり、考え方も変わっていきます。

そのため、具体的過ぎる「好き」を仕事にすることは、自分自身が変わってしまう可能性があるから、仕事にしない方が良いのかもしれません。

僕と世代の違う方からすると、「好きなんかで食っていけるほど、世の中甘くない」と一刀両断する人もいますが、これは時代背景も相まって、ある種致し方ない部分もあったかと思います。

右向け右、言われたことを言われた通りにしなければいけない時代背景があったからです。そして、高度経済成長、日本の成長が著しかった時代背景もあり、目の前にある業務をこなしていれば成果が上がるし、昇進もできた、ということも要因としてはあるでしょう。

しかし、もはや誰もが知っての通り、日本の成長の波は止まりました。自らが考え、価値を生み出さなければ「市場価値のない人間」と言われてしまう世の中になりつつあります。

だからこそ「好きで食っていく必要がある」と考えています。

▼自分にとっての好きとは

好きで食っていく必要がある、と書きましたが、その前には好きが具体的過ぎてはいけない、とも書いております。「こいつ、よくわからないこと言い始めたぞ」と思わないでください(苦笑)

まず考えていただきたいことは「自分にとっての好き、という言葉がどのようなことなのか」ということです。

誰かに対して、モノに対して、愛情を尽くすことなのか。

好き、という表現よりも、心地良いという表現の方が近いのか。

好き嫌いという感情ではなく、合っている、合っていないという表現なのか。

ちなみに長嶺は「好き」「嫌い」の判断ではなく「適正か」という判断軸が強い人間です。そのため、仕事をする際に心掛けていることは「これは全体的に適正なのか?」ということです。好きか嫌いで選んで、と言われたら逆に戸惑ってしまいます。

一つ「好き」(この辺りからは、自分の「好き」という言葉を言い換えてみてください)を抽象化してみましょう。

先の例で挙げた「サッカー」

これだと、具体的過ぎます。

では、サッカーのなにが好きなのか。11人で戦略を考えること。対戦チームを分析すること。アイコミュニケーションで意思疎通を図ること。身体を動かすこと。

色々な要素が出てくると思います。

書き出してみた時に、一番自分がピンとくるものを挙げてみてください。

僕の場合は、サッカーが好きなのではなく、「試合に至るまでの人との会話で生まれる信頼感、モチベーションの上昇」という事象が好きだということがわかりました。

抽象化していくと「自分が関わることで、対話者ないしはチームの士気が上がり、お互いが手を取り合って一つの目標に向かうこと」が自分のやりたいこと、ということです。

こう書いてみると、仕事にできそうな気がしませんか?

抽象化がしっかりとできたら、具体的事例に戻しても大丈夫です。

すると、サッカーが「目的」ではなく、「手段」に変わっていきます。

「自分が関わることで、対話者ないしはチームの士気が上がり、お互いが手を取り合って一つの目標に向かうこと」の達成手段としてのサッカーという位置づけになります。

サッカーが嫌いになってしまっても、根本は変わりません。

「自分が関わることで、対話者ないしはチームの士気が上がり、お互いが手を取り合って一つの目標に向かうこと」はHR業界でも同じことが言えます。

HR業界が嫌いになってしまっても、異なる領域でも目指すことができます。

このように、好きを抽象化しておくことで、自分が変わっても、手段が変わっても、目的は変わらずに持って置けます。ある人に否定されても、違う言い回しができるようになり共感してもらえる可能性も増えます。好きが変わったとしても、自分の根幹は変わらないので心配も薄れていきます。

▼好きを仕事に、が当たり前になった世の中とは

「好きの抽象化」は誰もができること。そう考えています。

ただし、すぐにできるものでもなく、一人でできることでもありません。練習が必要です。客観的に、かつ効果的に抽象化の支援をしてくれる人との反復練習です。

そして抽象化された「好き」が社会的意義を感じてもらえているか、「生産性があるか」も判断してもらう必要があります。

誰しもが、これができるようになったらどうなるのか。

説明が一段飛ばしにはなりますが「想像を超えた自分が走り出す」社会になっているはずです。自分の将来を想像できず、モヤモヤを抱えていた大人が、明るい未来を描くことができ、いくつもの壁や課題を越えていく。その姿を見た子どもたちが未来に、仕事に希望を持ち、挑戦していく世の中が創出される。

そして、好きが具体的すぎないため、「好きの共有、共感がしやすくなる」社会になると考えています。小さなコミュニティを作り、他の村を批判する文化ではなく、他の村の在り方も肯定し合える世の中が創出されていくはずです。

▼好きを仕事に、を現実のものにしたい人へ

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

好きなことを仕事にしたい、という方。是非、その想いを持ち続けてください。

今の時代、適切な努力をすることで、実現することができます。

僕たちは、地方移住をし、古民家を購入し、夫婦として起業しました。
そして現在は、その古民家に人が集まり、僕たちがやりたかった「キャリア開発事業」を行うことができています。

東京駅から高速バスに乗って、わざわざ田舎に来てくださるのです。

あなたの好きを否定する人ではなく、一緒にその好きを仕事として実現するために支援、伴走、応援してくれる人と歩んでいってください。

そして、自分の「好き」が具体的すぎないか書き出してみてください。

PCを触るのが好き。ゲームが好き。マンガに埋もれて過ごしたい。なんでも大丈夫です。

その「好き」をやっている時は、どんな気持ちを持っていますか?

一人でやっていますか?一人空間はあなたにとって、どんな意味を見出しますか?

誰かとやっていますか?あなたにとって人との関わりはどんな意味を持っていますか?

好きを仕事にするために、今の自分がどんな状態か、を見るのも大事なことです。

#ライフキャリアメーターという無料診断ツールを開発し、「あなたのこれからのキャリアに必要なこと」を可視化できるようにしました。

一人でも多くの方が、「想像を超えた自分が走り出す」ことにワクワクし、共創していける世の中になるよう発信していきます。