「うちの会社は良い人から応募が来ない」と思ったら? “本当に欲しい人材”を見つける方法
地方で懸命に事業を営む経営者様、人事ご担当者様。
こんなお悩みはありませんか?
- 「募集をかけても、応募がさっぱり来ない」
- 「面接で『この人だ!』と思って採用したのに、すぐに辞めてしまった」
- 「採用は、長年やってるベテラン担当者の『勘』頼みだ」
- 「都会の会社に、給料や知名度で勝てるわけがない…」
もし一つでも当てはまったら、その原因は「景気」や「場所」のせいだけではないかもしれません。
原因は、あなたの会社が長年続けてきた「感覚採用」にあるかもしれません。
これは、単なる採用手法の問題ではなく、会社の未来を左右する「経営課題」です。
なぜ今すぐ「感覚採用」から「戦略的採用」へシフトすべきなのか、その理由と具体的なプロセスを解説します。
目次
- そのやり方、もう限界かも?「感覚採用」の恐ろしい4つの落とし穴
- なぜ「感覚採用」から抜け出せないのか?
- 【重要】1人の早期離職で、会社はいくら「損」をしているのか?
- 「戦略的採用」は、難しいことじゃない
- 「戦略的採用」を始めるための「4つのステップ」
- さいごに
そのやり方、もう限界かも?「感覚採用」の恐ろしい4つの落とし穴
「感覚採用」とは、面接官の経験や勘、「なんとなくウチに合いそう」「採用担当者と相性が良さそう」といった曖昧な基準で行う採用活動のことです。
昔は、それでもうまくいった時代がありました。しかし、働き手の価値観が多様化し、スマホ一つで全国の求人を比べられる「売り手市場」の今、このやり方は4つの深刻な経営リスクを抱えています。
- リスク1:致命的な属人性、ノウハウの非資産化
採用ノウハウが「ゼロ」になる恐怖「採用のことは、ベテランのAさんに任せきり」という状態。もしAさんが異動や退職をしたら、Aさんの頭の中にあった「人を見る目」や「口説き方」のノウハウは、すべて失われてしまいます。 - リスク2:環境変化への対応不全
「昔の成功体験」が通用しない「昔はこの求人広告で応募が来た」「若者はこう接すれば大丈夫」といった過去の成功体験(感覚)は、今の世代にはまったく響かないかもしれません。仕事探しの方法も、会社に求めるものも、10年前とは激変しています。 - リスク3:高コスト・高ミスマッチの悪循環
「ミスマッチ」でコストが垂れ流しに「なんとなく良さそう」で採用した結果、「こんなはずじゃなかった」と早期離職につながるケースです。これは、採用コストや教育コストをドブに捨てているのと同じです。 - リスク4:「真の魅力」の埋没
あなたの会社の「本当の魅力」が埋もれている「ウチは給料も高くないし…」と諦めていませんか? 大手にはない「社長との距離感」「地域貢献の実感」「転勤のない安定」など、必ず「光る魅力」があります。感覚採用では、その魅力が整理されず、候補者に正しく伝わっていません。
なぜ「感覚採用」から抜け出せないのか?
これらのリスクは、「運が悪かった」から起きるのではありません。「感覚採用」という仕組みそのものに、構造的な欠陥があるからです。
なぜ、ノウハウが「ゼロ」になるのか?
それは、「感覚」が「言語化・可視化」されていないためです。
ベテラン担当者の「勘どころ(暗黙知)」がマニュアルや共有データ(形式知)になっていなければ、他の誰も使えません。採用ノウハウが「会社の資産」ではなく「個人の所有物」になってしまっているのです。
なぜ、「昔の成功体験」が通用しないのか?
それは、「感覚」が「過去のデータ」に依存し、「今の市場」を見ていないためです。
候補者の価値観も、転職チャネル(SNS、口コミサイト等)も激変しています。客観的なデータに基づかず、「古い地図」を頼りにしているため、新しい大陸(優秀な人材)にたどり着けないのです。
※一昔前まではハローワークとタウンワークでの求人掲載。21世紀に入りリクルートとマイナビが出て来ましたが、現代は2万を超える人材採用媒体が存在します。
なぜ、「ミスマッチ」でコストが垂れ流しになるのか?
それは、「採用基準」が曖昧なまま、「良い人」という抽象的な言葉で選んでいるからです。
「明るくて元気だから良さそう」といった判断には、「会社の経営戦略にとって、本当に必要な人材か?」という視点が欠けています。「面接官の好み(感覚)」で選んでいるため、入社後に「求めていたスキルや価値観が違った」というズレが必然的に起こります。
なぜ、会社の「本当の魅力」が埋もれてしまうのか?
それは、「自社の魅力」を客観的に分析・定義していないためです。
自社にとって「当たり前」のこと(例:転勤がない、地域インフラを支えている)が、転職者には「非常に魅力的」な場合があります。これを言語化し、競合と比較した「選ばれる理由」を定義できていないため、魅力が候補者に刺さる形で伝わらないのです。
【重要】1人の早期離職で、会社はいくら「損」をしているのか?
特に「リスク3:ミスマッチ」のコストインパクトは直視しなければいけません。
「感覚採用」による早期離職は、会社にどれほどの「出血」を強いているでしょうか?
【モデルケース】
- 採用した社員Aさん(中途採用・一般社員)
- 想定年収:400万円(月収 約33万円)
- 離職時期:入社後6ヶ月で退職
この場合、会社がAさんに「投資」し、一切回収できなくなったコスト(=純粋な損失)は、いくらになるでしょう。
1. 目に見えるコスト(直接的な損失)
- ① 採用コスト(外部)(例:人材紹介手数料 年収の25%) → 約100万円
- ② 採用コスト(内部)(例:面接官の人件費・時間) → 約10万円
- ③ 教育・研修コスト(例:OJT担当者の指導人件費) → 約20万円
- ④ 社会保険料(会社負担分)(例:6ヶ月分) → 約30万円
- 【小計:160万円】
2. 回収不能コスト(給与)
- ⑤ 支払った給与(6ヶ月分)
- 入社後6ヶ月は、まだ会社に利益を生み出せていない「投資期間」です。
- コスト:約198万円(33万 × 6ヶ月)
結論:1人のミスマッチ離職による「損失額」
上記の合計(160万円 + 198万円)は、
約 358万円
となります。
これは、売上358万円の損失イベントと同じです。
さらに、金額化できない「周囲の社員の士気低下」「業務の停滞」「顧客信用の損失」といった、目に見えないコストが会社を蝕んでいきます。
「感覚採用」を続けることは、この莫大な損失を容認し続けることなのです。
「戦略的採用」は、難しいことじゃない
では、どうすればいいのか?
その答えが「戦略的採用」へのシフトです。
「戦略」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、中小企業にとっての「戦略的採用」とは、シンプルに言えば、
・「会社の未来のために、どんな人が必要か?」を本気で考え、
・「その人に響くメッセージを、どう届けるか?」を設計し、
・「採用活動を『やりっぱなし』にしない」仕組みを作ることです。
これは「経営」そのものです。
「感覚採用」が「行き当たりばったりの採用」なら、
「戦略的採用」は「羅針盤と海図(データと計画)を持った採用」です。
これに切り替えるだけで、会社は大きく変わります。
●採用が「仕組み」になり、会社にノウハウが貯まる(誰か一人の「勘」に頼るのをやめ、担当者が変わっても採用の質が落ちなくなります)
●予算や時間を「ムダ打ち」しなくなる(限られたリソースを、「本当に欲しい人材」がいる場所に集中できます)
●会社の「本当の魅力」で勝負できるようになる(「給料」や「知名度」ではなく、「ウチで働く価値」で選ばれるようになります)
「戦略的採用」を始めるための「4つのステップ」
「何から手をつければいいか分からない」という方のために、大きな流れを4つのステップにまとめました。
ステップ1:現状確認と「作戦会議」(戦略基盤の構築)
- まずは「なぜ人を採るのか?」を明確にします。「欠員補充」ではなく、「3年後、会社をこうしたい。だから、こんな力を持った人が必要だ」という視点で考えます。
- 採用市場(ライバル)は今どうなっているか? 自社の採用活動の「強み」と「弱み」は何か? を客観的に見つめ直します。
ステップ2:会社の「魅力」を言葉にする(採用価値の設計)
- 「大手にはない、ウチだけの強み」を徹底的に洗い出します。(例:社長の想い、地域での評判、働きやすさ、技術力など)
- これを、欲しい人材に響く「キャッチコピー」や「メッセージ」に変換します。
ステップ3:「出会い方」と「選び方」を決める(実行プロセスの設計)
- そのメッセージは、どこで伝えればターゲットに届くでしょうか?(ハローワーク? 地元の求人誌? SNS?)
- 面接で「本当にウチに合う人か」を「感覚」ではなく「基準」で判断するための質問や流れ(選考プロセス)を決めます。
ステップ4:実行と「振り返り」(運用と改善)
- 計画を実行に移します。そして、一番大切なのが「やりっぱなしにしない」こと。
- 応募は何人来たか? 面接通過率は? どの広告が効果があったか? といった簡単なデータを見て、「次はこうしてみよう」と改善を続けます。
さいごに
人口が減り、働き手の価値観も変わっていく地方において、「感覚採用」を続けていては、会社の未来を担う人材と出会うことはますます難しくなります。
「うちみたいな小さい会社に戦略なんて…」
いいえ、小さい会社だからこそ、限られたリソースを最大限に活かす「戦略」が必要です。
まずは、あなたの会社の採用活動を一度立ち止まって見直してみませんか?
「なんとなく」から一歩踏み出すことが、会社の未来を変える大きな一歩になります。
私たちは、地方の中堅中小企業の「採用が変わる」お手伝いをしています。
「うちの場合、具体的にどうすれば?」と悩んだら、ぜひお気軽にご相談ください。
御社の採用活動方法や現在のお悩みをお聞かせいただきながら、
解決策や具体的な手法をご提案させていただきます。
まずはお悩み相談から、お気軽にお問い合わせください。

