「絶対理系にしなさい。そんなもの、一生続ける覚悟がないなら辞めなさい。」
私が父に学生時代何度も言われた言葉です。
これを読んでくださる方の中にも、家族の意向が後の進路選択に影響を及ぼした経験をお持ちの方が多いのではないかと思います。
幼少期は父方の祖母の家で過ごすことが多く、祖母が工業用ミシンでフォーマルスーツを仕立てる姿に憧れたものです。
祖母は何でも自分で作りたい人で、家で採れた花梨で化粧水まで作ってしまう人でした。
自由人な祖父を支えるべく、祖母があくせく働き家計を支えていたと聞きました。
そんな祖母を見て服やものづくりが好きになり、稼ぐ女性はかっこいいという概念が形成されました。
しかし現実は甘くない。
祖母が亡くなった後、単身赴任でたまに帰ってくる父は、とにかく理系進学を勧めてきます。
小中学生時代は、そんなに理系が偉いのかと、苦手な数学だけは得意にしておきました。
高校時代の進路選択では、厳しい祖母に育てられた父はアパレル業界の大変さを知ってか、その道に進むことに否定的でした。
理系に進んで宇宙に行きなさいと。黒髪ロングの清楚系なリケジョがかっこいいと。
金髪ショートカットで悪かったわねぇ。
芸術肌の母は、高卒でごめんねと。ごめんと言わせることもつらい。
だからと言って「一生ファッションで生きていくから大丈夫!」とも言えず。
ついに何にも自信が持てなくなりました。
ありがたいことに偶然出会った方々の言葉のお陰でキャリア支援の道に進み、今なら父がなぜそんなことを言ったのか、よく分かります。
でも子供の頃は、親が言っていたこと全てが正解だと思ってしまう。
正解からはずれて申し訳ないと思ってしまう。
キャリア教育をしたい理由の1つが、この体験です。
子供に支援するよりも、大人に最新のキャリアの考え方を届けたい。
今は何歳からでも誇れるキャリアにすることができます。
そして今決めたキャリアが一生続くわけじゃない。
数年後の計画は当たり前に崩れますし、自分で考え続けて、アップデートしていく必要があります。
父はキャリアを考えるようになり、私や長嶺に仕事について話してくれる機会も増えました。
これまで仕事一筋だった父だからこそ開ける、新しい世界があると信じてなりません。
これからのキャリアは十人十色。
もしかすると私も、第二のキャリアで、ものづくりに還る時が来るかもしれません。
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