昨今、「地方移住」という言葉がメディアでは多く取り上げられている。それに伴って、地方移住者が増えています、UIJターン者の数が増加しています。という記事も多く見られるようになってきましたが、実際はどうなのでしょうか。
実際に、千葉県香取市(一部特定過疎地域に認定)に移り住んだ長嶺の実体験を交えながら書いていきます。
この記事では、「地方移住と仕事獲得の実態」に関して紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
《目次》
- 地方移住とは
- 地方移住は誰が推奨しているのか。その理由とは
- 地方移住関連のメディア記事の実態
- 「地方移住×仕事」の課題
- 「地方移住×仕事」を実現させるためには
地方移住とは
地方移住とは、今住んでいる場所から他の場所へ移り住むことを意味することは皆様ご存じの通りかと思います。しかし、私たちが地方移住という言葉を聞く時に、必ず頭の中に思い浮かぶことは「仕事はあるのだろうか…」だと思います。つまり、労働者が地方移住という言葉を使う時には、「地方に移り住んで仕事をする」ということに近いと考えています。
この定義を改めて表記した上で、地方移住にはいくつかの方法があります。
「Uターン」…地方から進学や就職などで他の都市に移住した人が、再び生まれ育った地域に戻ること
「Iターン」…都市部に生まれ育った人が、地方に移住すること
「Jターン」…進学や就職で地方から都市に移住した後、生まれ育った地域に近い地方都市に移住すること
昨今では「UIJターン」と言われ、都市部で一生生活していくよりも、心落ち着く地方で穏やかに過ごしたいという価値観を持つ人が増え、地方移住がホットワードにもなってきています。
「いつか地元に戻るかもしれない」と考える人は元々一定数はいたので、あえて「地方移住」や「UIJターン」などの言葉を用いなくても地元に帰りたい人は帰りますし、田舎が好きな人は田舎に移住したりしていました。
では、なぜここまで「地方移住」という言葉が取り上げられるようになったのでしょうか。
地方移住は誰が推奨しているのか。その理由とは
あえて推奨する必要がなかったかもしれない「地方移住」。ここまで取り上げられるようになった背景には国・政府の思惑が大きく関係してきます。もちろん、地方自治体も地元に人が増えることで経済が活性化し、仕事が増えるため嬉しいことです。ですが、東京から数百キロ離れた地方自治体では「こんな田舎に移り住んでくるモノ好きな人はいないよね」と地方移住に関しては、半ば諦め状態に近い人の方が多いのが実態です。
では、東京をはじめとする大都市圏の企業群が推奨しているのでしょうか。最近は、ヤフージャパン社が「日本全国どこでも仕事してよい」という方針を発表し(厳密に言えば、2014年から導入されている)、話題になったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
(参考:『ヤフージャパンHPより』https://about.yahoo.co.jp/hr/workplace/workstyle/)
しかし、ヤフージャパン社のような企業は実際には極一部に限られており、コロナ禍によってリモートでのお仕事が推進された企業もありますが、一時的な処置に終わり、原則出社に戻している企業の方が多く見受けられます。つまり、東京などの大都市圏の企業の多くも「地方移住の推奨」は現実的には不可能と捉えている企業ばかりです。
(参考:『President Onlineより』https://president.jp/articles/-/47697?page=1)
それでも地方移住が粘り強く注目されている理由は「政府が地方移住者を増やしたいから」です。地方では空き家問題をはじめとする「相続」という顕在化している問題から一次産業における人手不足という日本の自給自足に関わる潜在化の問題まで山積みの課題があります。
これらが解決できないと日本政府としては、どのような問題に発展するのでしょうか。
それはズバリ「国がお金を支払い続ける」ということです。(本題はここではないので、詳しい解説は省略)
つまり、国・政府が地方移住を推奨する背景には、民間の力によって、仕事を生み出し、地方の経済を回して欲しい。地方移住者が増えることによって、政府の財源支出を減らしていきたいということです。地方移住者が増えないと、地方経済が回らない。相続問題が解決しない。国債が増える。市民の税金が引き上げられる、という負のループが延々と続いていくのです。
※民間企業のテレワーク実施率は公表されているものの…
(参考:『総務省HPより』https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123410.html)
地方移住関連のメディア記事の実態
上記背景もあり、現在政府から多額の地方移住や地方創生における予算が割り当てられています。その中には、各市町村が独自の判断で一般市民に給付できるお金から、地方移住を推し進めるために都市部の有名な企業がメディア、広告を出すためのお金など、様々あります。
ここで、一度「地方移住 仕事」と調べてみました。
上位10個の記事は「大企業」か「集客用の広告」で埋まっています。
地方移住のメリットを伝える内容は多くあるのですが、その実態を書いているものは少なく、かつ記事のほとんどが「地方移住未経験者」が書いているのです。
そのため、地方移住をして、仕事を獲得することの難しさには触れていない(というよりも、実態を知らないから触れられない)記事ばかりとなってしまい、「地方移住って良いよね!」というイメージが先行し、蓋を開けたら上手く行かなかった…という事例が多々発生しています。
「地方移住×仕事」の課題
それでは、地方移住経験者として、地方の実態を目の当たりにしている者として、実態をお伝えしたいと思います。
- 都市部の企業で経験していた仕事という価値観からは大きく離れる
- 一度他の都市に出ていった人が地元に戻って来ない率が年々増加
- 第一次産業(農業、水産業)、第二次産業(建設、製造業)もしくは公務員の選択肢以外ない
他にもたくさんあるのですが、ここでは書ききれない量になってしまうため、地方移住における一番の障壁だと感じる点を挙げてみました。
一つ目が皆様ご存じのとおりかと思います。働く場所をみつけるためには、もしかしたら今までとは全く異なる業界、業種に行く必要があるかもしれません。
地方移住して早々、農地を耕し、トラクターを操作して、季節に合った種を植え続ける。
今まではオフィスワーク中心だったにも関わらず、朝早くから工場に出社し、ラジオ体操、調整から始まり仕事中の7割は立ち仕事に。体力は今まで以上に奪われるのに、年収は今までの3割減。思い描いていた地方移住のイメージ通りでしたでしょうか。
恐らく、多くの方はこのようなイメージを持つことなく地方移住が楽しそう、豊かそうだから、という理由で夢見ているのではないでしょうか。もしくは、老後は地方の片田舎でゆっくり…という思考かもしれません。ですが、老後に移住してしまうと、地域コミュニティがないため、それはそれで大変なんです。家族、パートナーとだけの生活になってしまい逆に息苦しささえ覚えてしまうかもしれません。
このように「地方移住×仕事」には、インターネット上では見えていない課題が多く隠れているのです。であれば、地方移住はおススメできないことなのか。
多くのメディアでも取り上げられている通り、地方移住には良い部分も多くあります。
- 生活コストが安い
- 通勤ラッシュが(あまり)ない
- 自然豊かな場所が多い
- 空気が澄んでいる
(※子育てがしやすい、という記事もありますが、住む地域によっては子育てが「しにくい」場所もありますので上記リストには入れておりません。)
これらの良い部分と現在の状況を照らし合わせた時に、どちらの方が「自分が幸せに感じるか」を比較してみることをおススメします。
結局は「仕事」という問題に直面することになりますので、そこを受け入れる力、もしくは乗り越える力があるか否かに大きく左右されます。
「地方移住×仕事」を実現させるためには
地方移住をして、安定的に収入を得るためにはどのような準備をしておけばよいのでしょうか。それが以下の3つのポイントです。
- どんな環境で過ごし、どれくらいの収入があれば幸せかを明確にする
- 今までどのような経験をし、どのような経験を積んできたかを明確にする
- 地元の企業に頼らなくても、最低限の暮らしを確保できる財源を確保する
細かいことを言えばきりがないのですが、大枠ではこの3つが大事かと考えています。
それぞれ、もう少し詳しくお伝えしていきます。
どんな環境で過ごし、どれくらいの収入があれば幸せかを明確にする
もし、あなたが住みたい場所が軽井沢だったとしたら。
食材や外食におけるコストは他の地方移住に比べて高くなるでしょう。また車の運転も必要になる可能性があります。車の購入費用に加え、維持費が必要です。冬場は寒くなることが予想されるため暖房器具や灯油代も予想以上にかかることを見越しておきましょう。
物件も高いかもしれません。「地方移住=生活コストが安い」は、この場合には当てはまらないかもしれません。家族での移住の場合、一定以上の水準の教育を求めて、子どもは私立の学校に通うかもしれません。
このように具体的な生活のイメージを膨らませておくことで、必要な収入も予想していくことができます。
その収入を得るためには、地方企業での平均年収だと理想の暮らしは実現できないかもしれません。
(参考:『doda都道府県別平均年収より』https://doda.jp/guide/heikin/area/)
地方移住に関して、まずはワクワクするような理想の暮らし方をイメージすること。そのイメージを段々と具体的にしていく。具体的になったら、実際に必要な収入がどれくらいなのかを計算する。
ワクワクする未来。夢(目標)。これらのためであれば、頑張れちゃうのが人間心理なんですよね。
今までどのような経験をし、どのような経験を積んできたかを明確にする
理想の暮らし方、必要な収入は明確にできましたでしょうか。
次は、その理想を実現するために「今」ご自身がどのようなスキルを持っているのかを明確にしていきます。実際にのお仕事に繋げていくための作業に入っていきます。
ここは少し難しい作業になるかもしれません。
経験でいうと「営業」だけかもしれません。製造業関連の企業が多い地方の場合、製造業以外の営業経験は重宝されないかもしれません。そのため「〇〇業界の営業の経験を積んできました!」という個別具体的なスキルのアピールはあまり需要がありません。
かといって「営業成績において社長賞を獲得しました」というアピールも「その会社だから実現できたんだよね。うちだと違う環境だし…。」と必ずしも好印象に繋がるとは限りません。では、どのように準備すればよいのでしょうか。
「具体的なスキルを抽象化する」ということです。
より具体的にいうと「誰が見ても”再現性がありそうな仕事だ!”」という言葉に変換することです。
営業成績優秀で社長賞を獲得しました、ではなく、そこに至るまでの経緯、努力したことにフォーカスを当てます。例えば、「社内の営業マンが月に10の商談をするところ、私は平均30の商談を行っていました」「その理由は、人と人を繋ぐという部分に自分の大事な原点があり、人に直接会い、温度感に触れることを一番大事にしているからです」というようにです。ここまで話せるようになれば「ああ、この人は弊社でも活躍してくれるイメージが湧く」という認識を持ってもらえます。
今までの具体的なスキルを抽象化することができましたでしょうか。
地方移住で仕事を獲得するためには、この「抽象化」が非常に重要になります。今までの思考のまま凝り固まっていては”自分の経験したことのあるスキルを求めてくれる企業がある場所での地方移住”という縛りができてしまいます。
もし、地方移住×起業する場合でも、この方法は非常に有効な手段ですので、じっくりと考えてみてください。
地元の企業に頼らなくても、最低限の暮らしを確保できる財源を確保する
上記では「転職」を前提にお伝えしましたが、必ずしも転職だけが全てではありません。むしろ、地方の中小企業の場合、いつなにが起こるかなんて東京の企業より分かりません。後継者への継承が機能せず先代までは良かったけど、代替わり以降厳しい業績になっていく企業は山の数ほど存在します。たまたま、自分自身もその代に巻き込まれてしまうかもしれません。万が一、このような事態が起こったとしても最低限の暮らしが保てるようにしておくための財源が必要になります。
具体的には、「副業」「個人事業主」などで雇用元とは別の収入源(仕事)をつくっておくことです。もしくは、少額でも良いので投資を行っておいたり、万が一の時のために今までとは別のスキルを獲得しておいたり。いずれにせよ、地方移住において「単一スキル」(今までの仕事内容、経験、スキルだけに頼ること)で乗り込むのは危ない橋を渡る可能性があるためおススメいたしません。
さて、ここまでお読みいただき本当にありがとうございます。
「え、地方移住って中々難しいんじゃないかな。。。」と感じた方。地方移住は結構難しいと思います。(苦笑)
ですが、誰でも努力次第では可能なことでもあります。
- 自身の幸せの明確化
- これまでの経験やスキルの抽象化
- 本業だけに頼らない収入源を新しくつくる
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